「しかし、それだけでは本隊が攻めてくるとは言えないだろう」



そう慎重に言うカイに対し、ダグラスは首を振る。



「これは勘でもありますが、今回は、十中八九魔術師が絡んでいます。」

「なぜだ?」

「その精鋭部隊というのが、帝国の第3皇子が率いているからです。私が以前帝国内に潜入した折に、第3皇子は魔術師とつながりがあるとの情報を得ました」

「なるほどな・・・ただの精鋭部隊ではなく、何らかの目的があって乗り込んできたといいうわけか」



与えられた情報から、カイはすばやく対応をはじき出す。



「では、ダグラス将軍。早急に本隊を率いて国境へ向かえ。私は少々様子を見るために、本隊とは離れて隠密に国境へ向かう」



そこまで言うと、カイは今までの上官としての態度を崩し、こう告げた。



「なにをたくらんでいるか分からん相手だ。油断するなよ。」



それに対し、ダグラスも友として応えた。



「お前もな」