「はい。国境に配備した兵から、また帝国軍による侵入行為があったとの報告がありました。しかし、その数は少数であり、第二師団の国境配備隊のみで対応可能とのことであります」

「で?わざわざお前が報告に来たということは、それだけではないのだろう?」



そう問うカイに対し、ダグラスはおよそ上官にむける笑みとはいえない物騒な笑みを見せる。



「これは私見ではありますが・・・」

「続けてみろ」

「今回は、今までの小競り合いとは異なり、本隊が攻めてくるのではないかと・・・」

「根拠は?」

「まず、前回の報告で、偵察部隊の消息が完全に途絶えたこと。そして、侵入した帝国軍が今までとは異なり、少数ながら精鋭であること。以上のことから、帝国は何かをたくらんでいるものと考えられます」