その頃、カイは難しい顔をしてマリーの見上げる空と同じ空を見上げていた。


執務室からの眺めではあるが、少しは心も晴れるかもしれないと思い見上げてみた。


しかし、心は晴れるどころか更に曇ってゆく。


先ほど入った報告によれば、帝国内に入った偵察部隊の消息が途絶えたらしい。

それも、全員の。


偵察部隊は全員がそのための訓練を積んだ者たちだ。

誰かに足がつけば、すみやかに手を引くはず。


それが全員消息をたったとすると…



これも魔術師たちの仕業だというのか。薄気味悪いとしか言いようがない。



そう思いつつ、帝国内の様子を探る手段を断たれたという大きな痛手を補う良い手段が思いつかなければと、頭を悩ませる。