目の前にはカイとそっくりな男性が立ち、穏やかにほほ笑みながらラウラに話し掛けていた。



ほんとうにそっくり…この瞳の青さまで…



マリーはそう思いつつ観察していた。



「体の調子はどうだ?ラウラ」

「ええ、大分いいみたい。でもまだまだ治らない予定なの。だって治ってしまったらギュデスに帰らされて、イルバに会えなくなってしまうもの」



ふふふと笑うラウラに、イルバはより一層愛しげに目を細めた。


ラウラと視界を共有しているマリーとしては、まるで自分に微笑まれているようで落ち着かない。カイに似ているとなればなおさらだ。


しかしその瞬間、目の前の光景が急に電気を消したように暗くなった。


どうやら場面が変わったようだ。



「…それはどういうことなの…?」



今のラウラは先程とは異なり、硬い声をしている。



「…………!」



何か必死に説得する声がするが、よく聞きとることができない。



「それならば…なぜ!なぜわたくしに自由などお与えになったの!いっそ…いっそ何も知らないままでいられたら…ああ…イルバ…」


激しい悲しみの感情が伝わってきて、マリーも自分のことのように胸が張り裂けそうだった。



なにがラウラさんに起きたのかしら。さっきまであんなに幸せそうだったのに…。



そこでまた場面が変わった。