「……ラ」 


誰かが名前を呼んでいる。

「…ウラ。」


いつもその声に名前を呼ばれると、泣きたくなるほどの幸福感に包まれた。



「ラウラっ!」



マリーは、突如浮上した意識に一瞬何が起こっているのかわからなかった。


でも、ぱちぱちと目を瞬いてみれば、先程と変わらない景色が目の前に広がっている。


さっき誰かに名前を呼ばれた気がしたのだけど…気のせいかしら?



よくわからないが、目眩でも起こしたのだろう。



そう思い、再び空を見上げようとしたマリーだったが、上をむくことができない。


それどころか、よくよく感じてみれば、まるで自分の体ではないみたいだ。