殺気剥き出しのユアンに対して、御堂凪は眉をハの字に寄せた。
「あーなんか警戒されまくり?俺らそんな悪人ではナイんだけどな」
「お前ら2人のことはだいたい把握してる。それから杏樹を追い出そうとしてることも」
「んー俺は杏樹チャンにいてもらいたいんだけどねーかわいいから。
それに杏樹ちゃんのこと調べたけど何も出てこなくてねー」
「はっ…確かにそうだろうな」
どこがおかしかったのかユアンは御堂凪を鼻で笑った。
「……ユアン」
クイッとユアンのシャツを引っ張ると、ユアンはあたしの頬を撫でてくれる。
その手に自分の手を重ねながら、あたしはユアンを見上げた。
「ゴメン。ゴメンねユアン。本当にあたしが悪いの。あたし焼きそばサンド食べたかったの。
それで財布で牛乳かけちゃったの」
「財布で牛乳……?」
「うん。でも冬矢翡翠怒ってないって。あったかいの。ユアンと同じだったよ」
「…は?何が?」
あたしは目線をユアンから冬矢翡翠に移す。
今この場にいる全員が、あたしを見ているのを感じた。
「ユアンと同じ。冬矢翡翠はきっと…
……日本が大好きなんだよ」
あたしがその言葉を口にした瞬間、ひゅるる~と他3人の間に見えない北風が吹いたらしい。
「…………………」
「…何がどうなってあーいう結論になっちゃったんだろーネ」
「…そういえば、杏樹の思考回路は未知数だったな……」