あたしの頭を殴ったであろうハリセンでぱたぱた肩を叩きながら、涼しい顔してこちらを見据えるユアン。
……腹立つ!!!!
腹立つすっごく腹立つ!!!
あたしはユアンに食ってかかった。
それはそれはもうここが空港で人がたくさんいるなんてことを忘れて。
「…っ人の頭殴らないでよ!!!!」
「杏樹がこんな人前で叫ぼうとするからだろ!!」
「だって“ただいま”って言いたかったんだもん!!!!」
「そこで叫ぶ理由が俺にはわからないっつーの!!」
「日本に来れたのが嬉しかったんですー!!!
というか何そのハリセンーっ!!!!」
「日本人はツッコミをするときコレを使うと聞いた」
「誰から聞いたのそんなことーーっ!!!!」
自信満々なユアンに思わず発狂してしまったあたし。
そんなあたしを嫌そうに見ながら、ユアンはキョロキョロと辺りを見回す。
「そんなことより、さっさと由里亜さん探せ。
杏樹しか顔知らないんだから」
「ちょっと待ってよ何でそんなに上から目線なの」
「何で俺が杏樹に下から目線でいく必要があるんだよ」
ダメだ。
ユアンといると無性に腹が立ってしょうがない。
昔は可愛かったのに何でこんな性格になっちゃったんだ!!!!
あたしはユアンに背を向けてロビーを見渡す。
…すると
「……っ杏樹!!!!」