ゆっくり、細心の注意を払って扉を開ける。


「……………」


み…みんなの視線がっ…


一斉に向けられた視線に無意識に肩に力が入る。



居心地の悪さを感じながらも恐る恐る教壇の横に立つ。



フワッ


するとすぐ横にユアンが立ってくれたのが気配で分かって


ちょっぴり、肩の力が抜けた。



「夏井杏樹(ナツイ アンジュ)さんと、ユアン・クラウド君です。
2人はアメリカからの招待生として学園に来られました。
皆さん仲良くしてあげて下さい」


安西先生の声で、パチパチと拍手が鳴る。


「2人はあそこの空いてる席に座って下さいね」


拍手が鳴り止むと指差された席まで歩いていく。


その間視線は向けられたままで




「……………っ」



顔が暖かくなっていくのを感じた。




うー…ほっぺが熱い…




窓際の席に座って赤くなった頬を冷ましていると




「あーんじゅっ」


「あ、由里亜」



あたしの前の席に由里亜が座っていて、


由里亜の隣にユアンが座っていた。


「緊張してたー?」


「だってみんなの視線が…」


「あはははーっ確かにみんなすごい見てたよね」



ケラケラと笑う由里亜に苦笑するあたし。



「それではこのまま授業に入りますね。
私語や居眠りは禁止ですよ。僕が何するか分かりませんからね」


変態安西先生がそう言うと、みんな一斉に教科書を開いた。