「それでは絢子さん。いってきます」



「いってらっしゃい渉君。いつもいつも、若菜のこと面倒みてくれてありがとうね」



「いえ、女の子一人で出歩くのは危険ですから。僕の方こそ、いつも美味しいパンをご馳走になっているし…本当に、ありがとうございます」



「やぁだ渉君たらっ!!!!
さ、遅刻しないうちに行きなさいなっ。
若菜!!渉君の荷物くらい持ってあげなさい!!」



「はいはい。いってきま……………は!?!?」



「それじゃあ二人とも、
いってらっしゃーい!!!」


《ガチャン》



「……………はぁ」


門を閉めながら、思わず漏れたため息。



毎日毎日思うんだけど、


なんなんだろう。あたしと渉に対するこの扱いの格差はっ…!!!!



下げていた目線をちろっと隣に移せば、


「んだよ。おら、荷物持ちくらいしろつーの」


あたしの隣の家に住んでいる、和泉渉。


もとい、



ドSでド変態で超絶ナルシストで、何を勘違いしてるのか自分のことを俺様王様と思っているすっごい腹黒の…



「…てめぇそれ以上言ったら学園の池に放り投げて鯉のエサにすんぞ」


「………ひっ!!!!」