そんなあたしを無視して、渉はたんたんと続ける。
「日直の仕事。今日の帰りに社会準備室の資料整理あるから」
「げっ…!!!!」
「げっ…!!!!!じゃねぇだろ。俺が手伝ってやるんだから帰りにアイス奢れよ」
「なっ…手伝ってやるって、渉だって日直じゃんか!!!!」
「じゃーよろしくお願いしますね、蒼井サン」
その言葉を最後に、渉は友達と教室を出ていってしまった。
その様子を黙って見つめるあたし。
「……………」
……ほんと、ほんっと!!
「マジでむかつくっ!!」
「まぁまぁ」
「"まぁまぁ"じゃないからりっこ!!!!」
「…なーんか和泉渉機嫌悪かったね」
「ほらまたっ……え?」
りっこの一言に、身体から力がストンと抜ける。
「あれ若菜気付かなかった?さっきの彼、なんかイライラしてたじゃん」
「そんなの知らない」
「幼なじみなのに?」
「渉はただの隣人です!!」
あたしの言葉にふーんと頷くと、りっこは食べかけのお弁当に箸をつける。
「………………」
りっこの言葉が少し、少しだけ気になりながらも、あたしもお弁当を広げた。