「ったく日直とか面倒だな…若菜、早く天むす買ってこいよ」



渉は日誌をうちわ代わりにパタパタ扇ぎながら、だるそうに前髪をかき分けた。



その様子に一瞬だけドキッとして、



…この男、絶っ対自分が恰好よく見えるしぐさを熟知している!!!



あたしは渉から顔を反らした。



「若菜っ!!早くしろって天むす!!」


「…え!?今まだ購買やってないよっ!!!」


「じゃあ購買の前で待ってれば?」


「………なっ!!!!」



思わず反らしていた顔を渉に向ける。


渉はそんなあたしを馬鹿にするようにフフンとせせ笑った。



………何?なんなわけ?


何でいつもあたしを振り回すの?


さんざん自分の都合の良いときだけあたしを利用して!!!!


小さい頃からずっとあたしを縛りつけてきて!!!!


あたしは渉の玩具じゃないのにっ!!!!



自分のシャツを両手でぎゅっと握りしめているから、たくさんのシワがよっている。


顔が真っ赤になってて、眉間にシワがよってて、唇を噛んでいるあたしは


周りから見ればすごく不細工なんだろうけど



そんなのどうでもいい。



あたし、もう限界だ。