驚く、だろうな。
だって、今までの私なら・・・・・・龍也の名前を出されれば、ブツブツ言いながらも一応は言うことを聞いていたのだから。

今思えば、なんて滑稽なことだろうか。

「だから、電話をかければいいだろって言ってんだ。

どうせ、浮気相手と一緒だから出れないだろうけどな?」

「月姫・・・・・・?」
「ツキ・・・・・・?」
嘲る口調で言えば、玲二も優さんも心配そうな顔をして名前を呼んでくる。
その様子を見て、涙が出そうになったのは、しょうがないだろう。


「月姫・・・・・・浮気相手って、何のことだよ?
龍は・・・・・・」

「玲二、隠さないでいい。
私、知ってたんだから。

最近、会う機会も減ってたんだよ。
約束が破られることはザラだったし、会っても・・・・・・龍也からは知らない女物の香水の匂いがしてた。

疑うには充分すぎるくらいの証拠だった!!
それでも――信じてたんだ・・・・・・。

アイツが、私に信じろって言ったから!
それに、自分の目で浮気現場を見たわけじゃなかったからな。
でも、今日、見ちまった。


私以外の人に愛を囁くところを・・・・・・
それで、どう信じろって言うんだよ・・・・・・?」

詰め寄る私に、玲二は視線を逸らし黙ってしまった。