その様子を柚姫と奈々子は、溜息をつきながら見ていた。



そして柚姫は、その人だかりを見て言った。




「今大学の中にいる人で、私と來人が婚約者って知ってる人って・・・ほんの一握りしかいないんだよね」


柚姫は、行事の投票について考えていた。




「そうだね・・もっと知ってる人がいっぱい居れば、なんとか票を上げることが出来そうなのに・・」



そう。


この学際に来るお客さんは、大学在住の生徒より多い。


生徒の中でさえ、柚姫と來人の事を知ってる人はほんの一握りなのに、学際に来る一般のお客さんが私達の事を知っている事は到底ない。



だからもし・・來人や私が、他の人とキスしよが何しようが・・会場はただただ盛り上がるだけだろう。



しかも人って・・自分の好みの人がいると、その人に目がいく。


來人と玲徒と古城君が良い例だ。



顔がカッコいいからああやって人が集まって、注目を浴びる。


きっと、來人のスペースにいる女の人達は、迷わず來人に"票"を入れるだろうなぁ。




それは男の人も同じこと・・


好みの女の人がいたら、その人に目がいく。




それを考えると・・


私は佐々木姉妹に衰えている。


悔しいが、佐々木姉妹は顔が可愛いと言うより、綺麗な方だ。




「ハァ・・・・」


「柚姫・・・・」



ため息しか出てこない。


そんな様子を奈々子は心配そうにみつめる。




「おーい!!真中!!」


「はい!!」


先輩に声を掛けられた。


「お前、午後からの行事の準備があるだろ??先に昼済ませて、準備に行っていいぞ??」


「あ、は、はい・・・。ありがとうございます・・・。」


「先輩、私も手伝いなので、一緒に行っても大丈夫ですか??」


「ああ。ここは落ち着いたから・・じゃ、頑張れよ!!」


「ありがとうございます!!」



先輩はスタスタ歩いて行った。