真木や志水、クラスメイトを最近気にしながらみるようになってから思うことがあった。


僕もあんな事がなかったらみんなと楽しくさわいでいられたのかな……


……フッ


バカだな……


あの光景を


血の海を


忘れることなんてありえない……


あの事件がなければ甘ったれの世間知らずに育っていただろう。


利都に甘えて……


本物の利都が生き残ればよかったのに……


そうすれば今、どうしたかな……


「……ん、……ちゃん」


……ん?


「利都ちゃん!」


「えっ?」


考えに浸っていて気づかなかった。


目の前にはどあっぷの伊織先輩がいた。


「うわっ!」


思わず驚いて体を後ろに引いた。


「そんなに驚くことないのに~」


先輩は少し不満そうに唇を尖らせている。


「……すいません」


全然気がつかなかった……


「次の時間はパートナーとの実技なのに、約束の場所に全然来ないしー」


「ごめんね」


僕は時間も忘れて考え込んでいた自分に驚いた。


「あっ、先輩北条反応しました?」


真木が僕たちの方へやって来た。


「やっとねぇ~」