「最近、北条前よりも穏やかになったね。よかった」


「そんなに変だった?」


「変って言うか、危なっかしい感じだった」


……危なっかしい?


「そうそう!自分のことはどうでもいいって感じ」


騒いでいた真木も話に入ってきた。


「そうかなぁ?」


「そうそう!面倒見のいいやさしい先輩でよかったね」


志水がそう言ったあと真木が


「ホント羨ましいぜ。やさしい上に強いなんていいよなー」


「確かに南先輩は有名だもんね」


伊織先輩は有名なんだ……


確かに強かったし、やっぱり僕が知らなさすぎるのかなあ……


だから僕は聞いてみることにした。


「ねぇ、伊織先輩はそんなに有名なの?」


僕が聞くと二人は驚いたような顔をして


「なに!知らないの!?まぢで!!」


真木は嘘だ!と何回も言ってくる。


……


僕が無言になっていると


「まぁ、北条らしいって言ったららしいよね」


志水の顔はもういつもの穏やかな顔に戻っている。


志水の言葉には真木も微妙に頷いていた。


微妙になんだ……


伊織先輩、本当に凄いんだ……