高い任務を与えられるであろう事だって二人の実力を認められたことを喜ばなければいけないのに……


僕は戒斗を殺す、僕の目的がより早く遂行できることを喜んだ。


伊織は優しく僕に接してくれるのに……


大した裏切りだよね……


それも仕方ない事だって思っていたのに……


あのあたたかさを知ってしまったら


嫌われたくないと思ってしまった。


会ってまだ3日なのに……


「どうしたの?」


先輩に話しかけられて先輩がこちらを覗いていることに気付いた。

僕は慌てて


「何でもないです。明日から頑張ります」


「……うん」


先輩はなにか引っかかっているようだったけれど無理矢理きりあげた。


「それでは、また明日。失礼します」


「…うん…明日ね」


先輩を背にし、僕は寮に戻って行った。


……怪しまれただろうか。


そんな利都の姿を伊織は見えなくなるまで見ていた。


「……また何かを考えてた」


利都ちゃんはいつも突然何かを考えだして周りの声を聞いていない時がある。


「……やっぱり何かあるよね…」