先輩は失敗したという顔をしていたけれど僕は気にしていないので何事もなかったように


「伊織行こう」


伊織も気をとりなおし


「そうだね。作戦通りあと少ししたらキミは見晴らしのいい場所で魔物を確認して足止めしてね」


「はい。わかりました」


そして、しばらくして作戦を開始した。


僕は辺りを見渡せるように高い場所を探した。


小高い丘のような場所を見つけ、森を見渡し


魔法でコトバを風に乗せ伊織先輩に送った。


――一方伊織は――


「利都ちゃん、上手くやってるかなぁ?」


そんなことを考えながら森の中を走っていると


「…見つけた」


魔物はどうやら飛行もできるタイプのようだ。


「さてと誘き寄せますか」


伊織は近くに落ちていた石を拾い魔物に思いきり投げつけた。


それで完全に目をつけられた。


伊織は魔物に見つかりやすい場所をわざわざ選んで逃げた。


『伊織から見て左手に見える丘に向かって誘導してください』


利都ちゃん?


伊織は少し驚いたがすぐに利都の言葉に従い方向を変えた。


「まさか、こんな高位魔法まで使えるとは……」


そう言い、笑いながら