「青野 真瑠…。」


「…え?」



私がポツリと言った、その名前を彰は聞き返す。



「何でもするんでしょ?」


「……信じてくれるなら。」


「じゃあ青野真瑠を、笑えない様にしてよ。」



私は彰に抱き締められたままの体勢で、静かに彰に言う。


「どうゆう事?
ねぇ愛果?」



私を包んでいた彰の腕は、私の肩を掴んで振り向かせようとする。


私は体に力を入れて、彰の顔を見ない様にした。



…と言うより見たらダメだと思った。



きっとスゴイ醜い顔してるから


でも止まらない。


自分でも、何言ってるんだろうって思う事言ってる。


でも、止まらない。



「傷付けてよ。
何してもいいから、男を信じられない様にしてよ。
…何でも出来るんでしょ?
あの子放課後、一番端の階段通るから…。
今日の放課後ね?」


「えっ待っ!愛果?」



私は彰の顔を見ないまま立ち上がって


私を呼止める彰を一度も見ないで、その階段を後にした。