藤川先輩が彰に駆け寄る。
声を掛けられた彰は、ゴロンと仰向けになって
サッカーボールを空にかざした。
ワァーッと歓声が響き渡る。
メンバーが彰の周りに駆け寄って、みんなに揉みくちゃにされてる。
「はぁ~びっくりしたぁ…。
怪我してないみたいで良かったね愛果っ!」
「うん~!
カナリヒビッたけど。」
ホッして、じぃ~んと目頭が熱くなった。
相手のキッカーが彰に手を差し延べて、彰はその手を借りて起き上がる。
そのまましっかりと握手を交した。
両チームとも自分達の応援が居る観客席の前に立って、お礼のお辞儀をする。
私達が居たのは、両チームの間の後ろの方。
だから結構離れてたのに
彰はお辞儀の後顔を上げて、真直ぐに私達を見た。
それでニッっと歯を出して笑ってみんなとコーチの所に集っていった。