電光掲示板の表示は1-0のまま。
時間はあと1分ちょっと。
相手は最後の攻撃とばかりに、ゴール手前2メートル位の所からシュートを放った。
ディフェンス最終ラインの米田先輩の足の間をボールが勢いよく抜け、彰に向って飛んで行く。
バシッ
彰は一度そのボールをスレスレで弾く。
ゴールの左端の少し前に落ちたボールを相手が押し込もうと思い切り足を振り上げた。
すぐに彰は手を伸して、ボールを止めに入る。
キッカーが足を振り下ろしたのと、彰がボールに向ってダイブしたのが同時だった。
―ドスッ…
ボールを蹴った音か、彰に当ったか分からないけど
鈍い音が聞えた。
ピッピーーーー……
静まり返って居た競技場に、試合終了を告げるホイッスルが響いた。
ボールは彰の腕の中。
彰はボールを抱え込んだまま、地面に蹲ってる。
シュートのキックが彰に当ったのかな?
シュートする時のキックは強いし
下手に当ったら怪我するし。
大丈夫かな?
試合が終っても、観客席の視線は彰を見守って静かなまま。
私も友來も思わず立ち上がって動けない。