私は黙って首をふる。 「此処は…どこなんですか?」 「…明らかに俺達が元いた場所とは違う」 真剣な面持ちで話すと、私を見てこう言った。 「俺は――――」 「なんて…?」 私が聞き返した事に眉をよせつつも、もう一度言った。 「おれの名前は―――」 聞こえない。 名前を言っているってことはわかる。 でも、肝心なその名前がわからない。