「お兄さんだ…」
「っ!!」
お兄……さん!?…って!
天涯孤独だと思っていた僕に肉親がいたと分かったら、兄弟までいるって!?
そんな僕の混乱した頭に院長の言葉が遮りをいれる。
「まあ、そういう事だ…。で、すぐにでもお祖父さんと暮らす事もできるが、礼はこれからどうしたい?」
「えっ…あの…。」
余りにも突然のことに頭がついていかず、言葉が詰まる…
「暮らす…って言っても…その…」
気まず過ぎるだろ!!
でもなぁ…断ったらそれもそれで気まずいだろうしな〜…けど神子院の暮らしに別に不満とかないし…う〜ん。
「行きなさい、悩むなら新しい道へ行きなさい。新しい環境にも何時かは慣れます。」
「──!!……はい。」
いつも院長には見透かされてるような気がしてならないが、けど毎回それに助けられているから良いってものだ。
「では、お祖父さん。準備等もありますので明後日に礼君を引き取る、という形でいいですか?」
「はい、構いません。礼はそれでいいのか?」
「あ、う…うん。」
明後日…
明後日にはこの住み慣れた神子院とはお別れか…。何だか寂しいものだな、そうだ、俊悟にもちゃんと言わなきゃ…。