最寄駅から、家までの暗い道をあたしはとぼとぼと歩いた

徒歩10分の距離に、あたしが住んでいるマンションがある

父と母がいるマンション

兄は去年まで家にいたけど、就職して今は一人暮らしをしてる

携帯で時間を確認する

夜道が、携帯の液晶で少しばかり明るくなった

10時5分か

今頃、茉莉と寺島君は楽しんでいるのだろうか

あたしは最悪だ

心も身体もボロボロ

携帯をしまうと、手に持っているヒールの折れた靴をじっと眺めた

最悪だよ…今日は、運勢が悪い日じゃなかった気がしたんだけど、あたしにとったら、最低な日だった

失恋した上に、はだしで路上を歩くなんて

こんな姿、誰にも見せたくない

顔だってきっと泣き腫らして、腫れぼったいんだろうなあって思う

化粧だって、はげてる

化粧ってほどの、化粧をしているわけじゃないけどさ

ファンデーションと眉を書いてるくらいで…ノーメイクとたいして変わらないけど

眉があるのとないのとでは、自分のモチベーションが違うよね

ただそれだけの問題なんだけど

「はあぁ、なんかもうどうでもいいって気がしてきた」

ぼそっと誰もいない歩道で、独り言を零した