だって合コンの後から、よく遊びに行こうって誘われてたよ

嬉しくて、断る理由なんてないから…寺島君の車で出かけてた

ドライブして、ゲーセンで遊んで…車の中で時間を忘れて話をしてた

あたし、一人だけで喜んでいたんだ

寺島君は茉莉と付き合ってるんだもんね

「はあぁ…きつっ」

あたしは、ぼそっと気持ちを吐き出した

短大では茉莉に会うし、バイトでは寺島君に会わないとだし

バイト、楽しいから辞めたくないし

とんかつ屋で、渋いバイト先だけど、ホールのバイトのメンバーは良い人たちに恵まれてて、辞めたくない

「葉南…」

ナツのほうが泣きそうな顔をしていた

あたしより、苦しそうな表情であたしを見ている

そんな顔をされたら、あたしが泣けなくなるじゃん

あたしは笑顔を作ると、ナツの肩を叩いた

「平気だよ、たぶん…」

垂れてきた鼻水をあたしは啜る

カラオケボックスの煙草臭い空気があたしの鼻孔を刺激した

「冬休み中に、気持ちの整理をするからさ」

「平気?」

ナツが眼球を赤くしている

あたしの代わりに泣いてるの?

泣かないでよ

ナツが泣いたら、あたしが泣けなくなる