「青の族長の口から、葉南さんの名前が出たんです。悪戯してやる…みたいな感じで」

篤樹君が、言いにくそうにあたしに教えてくれる

「え?」

「それで、片岡先輩がブチンと」

篤樹君が「すみません」とまた頭を下げる

「…もうっ。怪我は?」

「ないよ」

片岡君がほっと肩の力を抜くと、にこっと微笑んだ

「僕が怪我するわけないでしょ」

「次、喧嘩したら、別れるよ」

「……努力します」

片岡君が、ぼそっと小さい声で呟いた

「葉南、怒ってない?」

「怒ってないよ」

「良かった」

片岡君が、ぎゅっとあたしの肩を抱きしめた

「ほんと、すみません」

篤樹君が頭をさげた

「頼むよ。赤がしっかりしないと、青が暴れるんだから」

片岡君が、篤樹君の肩に手を置いた

「はい、すんません」

「葉南、帰ろう」

「うん」

あたしは振り返るなり、こっちを見ているヨウコ先生とケイコ先生の視線に身体が固まった

「あ……」