青の奴らが脅威に思う人間が赤にはいなくなったから、好き勝手にやりやがって

ケンやマサが見たら、キレるよ

あの二人は、青が嫌いだから

僕の手の中で、携帯が震えた

『今、お会計してるの。あと5分くらいで、スタバに行けるから』

葉南からメールが入る

あと5分って……

僕は、外に視線をやる

あと5分で、青の奴らが帰るとは思えない

コンパを終えた葉南たちが飲み屋から出てきたら、青の冷やかしの的になる…よね

「あ、彼女さんから?」

女が僕の携帯を覗き込んできた

僕はぱたんと携帯を閉じると、まだ熱いコーヒーのコップを持って立ち上がった

「片付けないと」

「え?」

「あいつら、僕の視界の前から消えてもらわないと」

「ちょ…何、言ってるの? 今、出ていったら危ないよ?」

女が僕の腕を掴んだ

「今、行かなくて、いつ行けばいい? あのままじゃ、葉南が危ない目に遭うじゃないか」

「は?」

僕は女の腕を振り払うと、スタバを出て行った

バイクのケツに青い旗をつけているのを探す

族長はどこにいる?

僕、嫌いなんだ

他人に迷惑をかけて、喜んでるヤツらって

何が楽しいんだろうね

人の怯える顔を見て、嬉しそうな顔しちゃってさ

僕は、手に持っている紙コップの蓋を外すと、旗をつけて大笑いしている男の頭を目がけて投げた