「片岡君、平気?」

「何がですか?」

「だって寝不足で、休憩なしって…」

「平気ですよ。それよりも鈴木さんのこれからが気になります」

「は?」

片岡君は振り返って、大澤さんがホールの流しで洗い物をしているのを確認してから、あたしの顔を見た

「失恋の相手って、寺島君でしょ? 話をちらっと聞きましたけど、なんか好きでもない人と付き合えって脅されてるみたいでした」

「えへへ」とあたしは、笑った

耳の裏を掻くと、なんと返事をしたらいいのかわからなくて、あたしは膝を曲げたり、伸ばしたりと身体をもじもじと動かした

「辛くないですか?」

「あ…うん、でもどうしたらいいか…わかんないし」

「僕でよければ、力になりますよ」

「いや…それは申し訳ないっていうか。だって族とか言ってたし」

「じゃあ、一つだけ教えてください。寺島君のお友達と付き合う気はあるんですか?」

「ないです!」

「わかりました」