「族って言われても…困る」

「困ることねえんだってば、もう来てるんだからさ。それとも家の下に、仲間を呼んで欲しいわけ?」

「ええ? それはもっと困る」

「なら、いいじゃん」

寺島君がにこっと笑う

一昨日まで嬉しかった笑顔なのに、今は見たくないよ

なんで…あたし、こんな人を好きになったのだろう

なんで、付き合いたいとか思ったんだろう

すごく嫌な人じゃない

この人の性格を見抜けなかった自分が悔しいよ

片岡君は、キッチンの奥に入るとまた仕込みを始めた

寺島君は皿を洗い終わると、床の掃除を始める

あたしも閉店にむけて、少しずつ片づけを始める

すごく憂鬱

バイトは楽しいけど、その次に待ち受けている加藤さんとの時間を考えると、ため息がこぼれてしまった