肩をがっくりと落として、歩みを止める

ぼぉーっと、まっすぐ続く歩道を眺めた

冷たい風が頬を撫でていく

風はあたしを慰めるわけでもなく、包み込んでくれるわけでもなく、ただ濡れた頬を冷たく凍らせた

一台の原付バイクが、近づいてくるのがわかった

静かな道路に、音が響き、どんどんと大きくなってあたしの耳を刺激した

エンジン音が、後ろから聞こえて、あたしの横を颯爽と追い抜いていく

好きってなんだろう

あたし、寺島君を好きだったのかな?

それすらもわからなくなってきた

この場に蹲りたくなる

大きな声で泣きたくなる

でも、待って!

あたしはまだ泣けない

泣いちゃいけない

泣いたら、動けなくなる

泣いたら、寺島君を好きだったって認めたことになる

そんなのは嫌だ

あたしは、寺島君なんて好きじゃなかった

そう…あたしは好きじゃなかった

それを知っていて、茉莉は寺島君と付き合ったの

そう思いたいの

思わないと、心がバラバラになってしまいそう

親友の裏切り行為に、憎しみと怒りで、爆発してしまいそうになる