「瑠璃子さま--ッ!!」


ガタリと大きな音を立て、床に倒れている伊集院さんに駆け寄る女の子。


肩まである綺麗な茶色の髪を左右に揺らしながら。



その姿は必死そのもので。



彼女の伊集院さんに対する心配の仕様が半端ではない事が良く分かる。



上半身をゆっくり起こし、顔を覗き込んだ後


キッ…と大和を睨んだ。




「…お嬢様は刺激が強い事があると倒れてしまいます。


幾ら田原様でも、余りにお戯れが過ぎますと



この私、笹川 円(ササガワ マドカ)が只では済ましませんよ…!!!」



「………」



大和は笹川さんを冷たい目で一見し



「あんたにそんな事言われる筋合いは無いと思うが。

…そんなにそいつが心配なら、さっさと保健室にでも連れていくんだな」



そんなことまで言いやがる。



笹川さんは更に目つきをキツくし、伊集院さんを肩に担ぐと



すたすたと教室を出て行ってしまった。