そこは高校の屋上を思い出させる作りをしていた。
すっかり暗くなり、駅と電車と車のライトが綺麗なイルミネーションを作っている。
コートがないと寒いはずの季節だけれど、暑い身体を覚ますには丁度良い、心地よい風が頬を撫でた。
こんな時にも思い出すのは大和の事。
今何をしているんだろう。
…っていうか、実は大和が通う高校がどこか知らないんだよね…。
推薦が決まったと言われた頃から何回も尋ねているんだけど
「制服を見てからのお楽しみ」
とか何とか言われていつもはぐらかされている。
はぁ…
あと一週間くらいは分らないのかなぁ…
なんて考えていると
あたしが来たときにもした、ギィィ という軋んだドアの音がした。
振り返ると、
「やっぱりここにいた」
「柳瀬さん…」
風に髪をなびかせながら、彼が歩み寄って来たんだ。