「あれ、なんだか楽しそうですね。私も混ぜて頂きたいところですが、他の先生方がいらっしゃいましたよ」



教頭の目から見れば楽しそうなのか…。




昨日会った 美術担当の安本さんを筆頭に どやどやと席に座ったのを確認して、あたしの歓迎会が始まった。










お決まりの宴会内容。



あたしだって大学の頃、飲み会ぐらい参加したことはある。


だからどういう流れで進んでいくか分かっては居たけれど、学生じゃなくなるとこんなにも詰まんないものなのか。


だって、あたしはお酌ばかりで全然飲めてない。




お父さんから、縦社会とはこういうものだ と散々聞かされていて、偉い人から順に挨拶がてらのお酌をして回らなければいけないと口を酸っぱくして力説されたのだ。


その助言に背くわけにもいかず、こうして律儀にビールを注いで周る。



やっと全員に周ったと思うと、今度はあたしがお酌を受ける番で。



決して弱くはないお酒だけれど、こうも連続で来られると…効く。




「ちょっと風に当たってきます~」



と、ふらふらしながら店の出口を開けた。




エレベーターの R のボタンを押して、屋上に向かってみた。