いつもの朝食。

これもお兄ちゃんが結婚してしまったらなくなってしまうのだろう。


あたしの両親は仕事が忙しくて今は海外に出張中だ。

昔から何かと出張の多い両親に代わってあたしの面倒を見てくれいた。


友達と遊ぶのも、どこか出かけるのも我慢して。


『りぃ』


お兄ちゃんだけが呼んでくれる、あたしだけのあだ名。

誰にも呼ばせない。

誰にも呼ばれたくない。


お兄ちゃんだけがいればよかったのに。

優しくて、かっこよくて、大切で、誰よりも大切で。


そんなお兄ちゃんがほかの女の人と結ばれる。

考えただけで胃が痛くなりそうだ。

いや考えなくてもすでにあたしの胃はもう痛い。



気分が悪くなったあたしはお兄ちゃんに見つからないように薬箱から頭痛薬を取り出した。


ここのところ頭痛がひどくてたまらない。

原因は分かっている。お兄ちゃんの結婚。


本当は誰かのせいにしてしまいたいけれど、それをしたとしても無意味なことくらいあたしは理解してる。

もうあたしは幼いころのようなあたしじゃない。

過保護なお兄ちゃんに子供としてみられたくない。

一人の立派な女性になれば、お兄ちゃんはあたしに振り向いてくれるのかな。


そんなこと、ありえるわけがない。

あたしとお兄ちゃんは兄妹。


切っても切れない縁にあるのだから。


この運命には逆らえない。