ベッドルームを開けるとベッドの上に座ってる留宇。



枕を抱きしめて浮かない顔。



「ハァ~…」

「迷惑ばっかりごめんなさい…」

「迷惑じゃねぇけど…。お前のそのツラが迷惑だな」

「だって…雷さんと離れるって考えたら涙がっ出てくるっ」



隣に座って肩を引き寄せたら抱きついてきた。



こんなにガキなのに親に捨てられたらキツいよな…。



「気持ちはわかる。俺も経験者だからな」

「えっ…?」

「まぁうちは親父が借金残して女と逃げたわけだけど。今だに許せねぇよ」

「雷さんも…?」

「あぁ。母ちゃんも死んじまったし…。ひとりなんだ、俺」



目をパチパチとさせた留宇は俺の生い立ちなんて想像すらしてなかったんだろう。



過ぎたことを振り返っても俺には意味のないことだと思ってるけど。



「実は高校も出てねぇ」

「そうだったの…」

「金なかったし。その日を生きるので精一杯」

「じゃあ経営は?どうやって学んだの?」



話せば長くなるわけだ。