でもそんなカンゾウさんを私が心の何処かで、怒ったり羨んだりしていたのかもしれない。

私が出来なかった事をカンゾウさんは軽々やってのけた。

ご飯と食べてからと言ったのに、動いてしまったカンゾウさんの勝手な行動があったとはいえ、

私はやっぱり何も出来なかった。怒りよりも喜びよりも先に、悔しい感情が込み上げる。

レーノの居所を見つけるのも出来ない私がレーノを助けても良いのかな?

また“お前は役立たず”だって誰かに言われたりしないかな?

カンゾウさんが黙ったままの私を心配する声が聞こえた。


「見付けたのは良いけれど、私だって少しは役に立ちたかった……」


カンゾウさんはきっと私の事を考えて、それで情報を掴もうとしたんだと思う。

不安を感じて、気が滅入る事が少なくなるように。だからこの人は悪くない。

なのにカンゾウさんに“申し訳ありませんでした”と言わせるなんて。

私はカンゾウさんに感謝しているのに。口からは悪い言葉しか出てこない。