私が目を覚ましたのはドアの音がしたから。

どういう訳か寝ていてもドアの開く気配がすると、目をバチっと開けてしまう。

変に感覚が良いのか何なのかは分からないけれど、今回はそれに助けられた気がする。


「起きたのかい? はい、パンとスープ。軽めの方が良いかと思ってね」


食欲をそそるような香りに私は早く食べたくてうずうずした。

おばさんがいなくなったのを見計らって私はすぐさまがっついてしまった。

だって早く食べてレーノを探さないと。レーノだってお腹空いている筈だしね。

誘拐されたからきっと酷い仕打ちを受けているに違いないと思う。

待っていてね、レーノ。すぐに見つけてこのパンとスープをご馳走するから!


「ご馳走様!」


食器は持ってきてくれるかな、とかちょっと図々しく思いながらも私は部屋を飛び出した。