結局カンゾウさんは私の部屋まで持って行ってくれた。

私の部屋は1番奥。その隣がカンゾウさんと……もしかしたらレーノも一緒になるかもしれない部屋。


「それでは隣の部屋に居りますので……」


カンゾウさん、本当に荷物持ちお疲れ様です。

私の家の部屋よりも明らかに広い宿の一室。あるのはベッドと、机や椅子とかの家具くらい。

ベッドに寝転がれば、さっきまで干していたからなのか太陽の匂いがした。

ふかふかでマシュマロみたいに柔らかい。このまま眠ってしまいそうな勢いだ。


(駄目だ、今からツキシロさんとレーノの情報を集めないと……ご飯だって……)


そうやって自分の中で言い聞かせるも、そんな意志よりもベッドの心地良さからくる眠気が勝ってしまって。

私はそのまま眠りに落ちてしまっていた。大丈夫、すぐに起きられる……筈だから。


『お前一体何しに来たんだよ』


そんな声が何処からともなく聞こえてきた気がした。