バイトの先輩の結衣さんにだけ本当のことを話した。
モミジとも私とも仲の良い結衣さんは、私の告白にただただ困った顔をした。
「そうだったんだ…直、あんたも辛かったね。」
結衣さんに相談できたことで少し気が楽になった。
でも、パンの名前と値段を必死に覚えるモミジを見ると
胸が痛む。
昔の私そのものだった。
あの時、もし、先生に彼女がいるって知ったら私はどうなっていただろう。
しかもその相手が仲の良いバイトの先輩だったら…?
モミジが先生の話をすると、不思議な気持ちになった。
聞きたくないような聞きたいような、複雑な気持ち。
私の知らない学校での先生の話、もっと聞きたいとも思ってしまうんだ。
『今日のアラカズ、あくびばっかりしてたんです!』
そう話してくれた日の前の夜、そういえば長電話をしていたっけ。