「お父さんがかわいそうで・・・」


お母さんは涙ぐんで、目の前の検査室の扉を見つめた。



「今まで一生懸命働いてきて、どうしてこんな…」




お母さんの肩を抱くじぶんの手も恐怖で震えていた。


お父さん


お父さん


どうしちゃったの?




何があったんだろう。



頼りになって、


強くて、優しいお父さん。




今朝私と話したことも忘れてるんだ。



私が専門学校に行ってることも、先生と婚約したことも・・・覚えていないんだ。