いつの間にか眠っていた。
何の夢を見ていたのかよく覚えていない。
でもお父さんが夢の中にいたことだけは確か。
「お!起きたかぁ?直、もう少しだからな!」
時計を見るともう2時を回っていた。
お父さんとお母さんは旅行が好きだ。
よく行く旅行の中でも今回は遠い場所。
今回の旅行先は、私達の住む街から車で3時間程の場所にある温泉街だった。
私が眠っている間に、先生はお母さんと連絡を取り合い、ナビに行き先の病院をセットして、そこへ向かっていた。
「ごめんね、先生…」
その声を遮るように、先生の手が私の頬に触れた。
「直!ごめん禁止令!!俺にとってもお父さんは大事な人だから。気にするな。」