インストラクターのお兄さんは、2人とも現地の人だった。
目的地に向かう船の中で、2人は大事な話をしてくれた。
それは、私の心の奥にしっかりと刻まれ、これからの人生で
忘れてはならないと思う内容だった。
ある場所で船が止まった。
その部分の海の中だけ色が違っていた。
「自然を壊してしまっているのは、俺達なんです。」
インストラクターの色の黒い方のお兄さんは、そう言ってため息をついた。
停まった船は、静かで波の音しか聞こえない。
東京の高校で出会ったという2人は、成人を機に地元へ戻ってきた。
戻ってきた地元は、以前とは違っていて、2人はショックを受けたという。
「これ、見てください。」
背の低い色の白い方のお兄さんが船の奥からゴミ袋のようなものを持ってきた。
その中には、タバコの吸殻や空き缶、雑誌、新聞、電池や、お菓子の袋など大量のゴミが入っていた。
「沖縄が有名になることは僕らも嬉しいんです。でも、観光客が増えることで僕らは、変わってゆく自分の島を見ることになる。それが悲しいんです。」
そのゴミは、今朝拾ったものだと聞いて私と先生は驚きを隠せなかった。