酔っ払った俺はベンチに横になり、直に頭を撫でられていた。



今夜でお別れだという旅人達と別れを惜しみつつ、夜は更けてゆく。




「直と俺はどうしてこんなにラブラブなの?」



俺の質問に直はただ笑っていた。


直は辺りをキョロキョロと見回していた。




俺にはわかった。



直が探しているのは雅子さんだ。






雅子さんは、宿には戻らずに散歩へ出かけた。


誘うような目で俺を見ながら、手を振った。






直を悲しませてまで、話したい相手ではない。



彼女がいると知っていて、俺を誘う雅子さんは第一印象とはかなり違った人だ。




自立した大人の女性ではなく、

寂しさを素直に表現できない強がりな女性。