直が走って行った時、俺はすぐに席を立った。



友達3人が直の名前を呼んだ時、俺は自分の失敗に気付いた。





「待って!」




立ち上がった俺の腕を掴む人。



雅子さんだった。





一人で世界を旅する彼女は自立していて、大人に見えた。


昔、教師を目指していたという話も聞いていた。




男なんて必要ない女性に見えた。





しかし、俺の腕を掴んだ彼女の目は、一人で生きていけるほど強い目をしてはいなかった。




すがるような瞳で俺を見つめた。