女将さんの手には一足のサンダルと封筒。


そのサンダルには見覚えがあった。


「真奈美さんの…」


啜り泣く人も何人かいる中で春人はわけがわからなかった。


「そんなわけない…」


「春人くん…?」


「変な冗談はやめてくれ!!!」


春人は自転車を投げ飛ばして、走り出した。


「あんなに…あんなに…幸せな時間を過ごしたんだ…そんなわけない…」


春人は溢れる涙を拭きながら、真奈美の家に飛び込んだ。


「真奈美さん!真奈美さんいるんだろ!」


家に勝手にあがり部屋に入ると、そこには真奈美はいなかった。


テーブルの上には一通の手紙が置いてある。


「これ…」


春人はそっと手紙を開いた。