「どうしたの?」


「何でもないよ」




私の質問に

矢田くんは無理に笑って答えた



この時

聞かなきゃ良かったのかな


聞かずにいたら

終わらなかったのかな




「何か、あるでしょ?」


「何でもないよ」


「嘘…」




重たい沈黙



矢田くんの瞳を見つめ

矢田くんの上着を握った





見つめた矢田くんの瞳


掴んではいけないものを

掴んでしまったような気がした