「怒ってる?」


矢田くんの言葉に黙って頷いた



本当はそんな事を伝えたいんじゃない

そんな事じゃないのに…



「話しよ?」


ベンチに腰掛けた矢田くんは、ちゃんと私の気持ちを知ろうとしてくれた


なのに私は、黙ったままだった



「どうしたの?」


その声に答えたい

答えたいのに言葉が出ない


声が出なかった




次第に不機嫌になっていく矢田くんの表情


初めて矢田くんを怖いと思った



矢田くんの表情は私の言葉を求めてくれてる証だったのに


私はただ矢田くんが怖かった