電車が来るまでの時間

駅の中で座ってた



「矢田くん、大丈夫?」

「うん、座ったら落ち着いてきた」



矢田くんの顔色が少し良くなって安心した



ほっとした瞬間、矢田くんが口を開いた


「その『矢田くん』っての、もう卒業しない?」



え…



「ううん。だって、矢田くんは矢田くんだもん」




ドキドキして他の言葉が出てこなかった


そんな私を見て、矢田くんは小さく笑った






本当は

名前で呼びたかった



けど


どうしても呼べなかった



私の中で

矢田くんは矢田くんだったから