「帰る?」


矢田くんの一言に、私は頷いた


「ちょっと待ってて」




私と矢田くんをじっと見る部員達の目


そのたくさんの目は

噂が本当だったと確信していく目だった



離れて行ってしまった矢田くんに

早く戻って来てほしいと思うくらい心細い




鞄を取ってすぐに戻ってきた矢田くんが

周囲を気にせずに言ってくれた



「帰ろ」




私は矢田くんの言葉に救われたような気がした