キーコンキーコンペダルを踏み、鼓膜を震わせるのはオリコンチャートにはいっているような音楽ではなくアニソン。もしくはキャラソン。
その歌を口ずさみながら少し身体を揺らし帰路を辿る。
はたから見れば普通の女子高生なはずだ。といっても人の視線などきにしないし、田舎と言うだけあってすれ違う人の殆どは老人だ。
時よりお疲れさまでーすやこんちはーやらさようならーと声をかければそれに応えるように手を振り返してくれる。
田舎万歳!都会より平和っぽくて私は好きだ。

何時ものようににこやかに下り坂を滑っていたとき震えだすのはケータイで、私はブレーキを少しかけた。キキーと鳴るチャリを片手運転しながらメールを見れば『今日はグリムの日だね』の一言。
グリムとは今、私がハマってるマンガの一つで最近アニメ化したものだ。キャラクター設定時代背景などがもろ好みで、毎回録画までしている。
正式名称はグリム童話で、ちょびっと残酷でいい話しだ。

「おー!ナイスさねコノ人!!……でもアンタ誰よ?」


頭をコテンと傾げ少し考え、ふと思い出したのは『峯葵』。きっとアオイちゃんいう子に違いない。

『そうですねー!グリムの日ですよ!ウハウハしちゃいまふ』と返信しケータイを閉じれば、すぐまたメールが届いた。
敬語じゃなくていいというアオイちゃんに私も敬語じゃなくていいよと気軽に和希もしくはかっちゃんと呼んでと打ち返す。
ちなみに私はアオイちゃんと呼ぶときめた。