「いやぁ、クラス替えあんま役にたたんかったねぇ」
「皆一緒で嬉しい限りさね」
ブルーシートの上で胡坐をかきお弁当を食べ進めるのは一組に入った友莉と紗矢香、そして私藍原和希。そして残念ながら二組に入ってしまった平さんこと平野泉。クラスが違えどブルーシートは隣あってるし、新学期早々先生方は注意はしない。
「なんで私だけ二組…」
「でもまあ、体育とか合同授業は一緒さね。気にするべからず」
疎らに咲き始めた桜を頭上に行われているのは毎年お馴染みの花見。花見だけならまだしも、俳句を作らないと居残りにさせられるという苦痛な行事なのだ。
箸を進めなつつも良い句が浮かばないかと考えてはみるが、これがなかなか出てこない。
「……桜咲く ついでに僕の 恋もさく。なんてどうよ」
「ハハッ。きもっ」
「ひどっ!かっちゃんひどっ」
「だって酷くてかっちゃんさねっ!!」
ニヤリと笑ってみれば友莉サンもニヤリと笑い返してくれる。傍らでソレを見やる紗矢香と平はオバサンくさく茶を啜っていた。